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特集 生命科学のNew Key Word 4.細胞小器官
小胞体ストレス応答(UPR)
著者: 河野憲二1
所属機関: 1奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター
ページ範囲:P.414 - P.415
文献購入ページに移動一つ目のタンパク質合成の抑制は,小胞体膜貫通型タンパク質キナーゼPERK(PKR-like ER kinase)の活性化によりeIF2α(eukaryotic initiation factor 2α)がリン酸化され非活性型となり,タンパク質合成が抑制されることにより一過的に新生タンパク質の小胞体内への流入が抑制されるもので,小胞体ストレスに呼応し初期段階で起こる応答である3)。このタンパク質合成の抑制により逆に翻訳が誘導されるATF4(activating trans-cription factor 4)と呼ばれる転写因子があり,この活性化によりアミノ酸代謝や輸送,細胞内酸化還元反応に関与する遺伝子の転写誘導がかかることが知られている。翻訳抑制にはIRE1βという膜貫通タンパク質による28S rRNAの分解によるタンパク質合成の抑制も報告されている4)。
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