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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻5号

2004年10月発行

文献概要

特集 生命科学のNew Key Word 6.アポトーシス

CAD(Caspase-activated DNase)

著者: 長瀬洋子1 長田重一2

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科生体制御医学遺伝学 2大阪大学大学院生命機能研究科時空生物学

ページ範囲:P.444 - P.445

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 アポトーシスは,不要になった細胞,害となる細胞を取り除く生理的な細胞死であり,Fasリガンドなどのdeath factor,抗癌剤により誘導される1)。アポトーシス時の特徴的な形態変化として,核の凝縮と染色体DNAの断片化がある2)。このDNA断片化を引き起こす分子が,CAD(caspase activated DNase)であり,DFF40(DNA fragmentation factor 40)とも呼ばれている3)。CADは,アポトーシスのcell-free再構築系を用いて,アポトーシス時に活性化されるDNaseとして,マウスおよびヒト細胞より単離同定された4)。この分子は343アミノ酸からなる塩基性タンパク質であり,核移行シグナルを有する。

 増殖中の細胞では,CAD活性を阻害するICAD(inhibitor of CAD/DFF45)がCADと複合体を形成している。ICADはCADの合成において,その正常な折り畳みを助ける分子シャペロン様の働きをも持っている5)。アポトーシス時には,ほとんどの場合カスパーゼ(システインプロテアーゼ)が活性化され,この活性化されたカスパーゼによりICADが切断不活化され,遊離したCADが染色体DNAの断片化を引き起こす。カスパーゼ耐性の変異ICADを発現させた細胞やCAD欠損マウス由来の細胞では,Fasリガンドや抗癌剤などの刺激により,DNAの断片化は全く引き起こされない。しかし,CADを欠損した細胞はこれらの刺激により死滅し,アポトーシスの進行自体にDNAの断片化は必須ではない6)

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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