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特集 生命科学のNew Key Word 9.脳の遺伝子・分子/細胞過程
オレキシン―覚醒を制御する神経ペプチド
著者: 桜井武1
所属機関: 1筑波大学基礎医学系薬理学
ページ範囲:P.482 - P.483
文献購入ページに移動 オレキシン(orexin)-Aおよび-BはオーファンG蛋白質共役受容体に対するリガンドとして,いわゆる“reverse pharmacology”によって同定された1)。オレキシン-Aと-Bは130残基(ラット,マウス)または131残基(ヒト)の共通の前駆体(プレプロオレキシン)から生成される。オレキシン-Aは33アミノ酸残基からなり,分子内に2対のジスルフィド結合を有する。一方,オレキシン-Bは28アミノ酸残基からなるペプチドである。プレプロオレキシンmRNAはdeLeceaらによって視床下部特異的なmRNAとしても同定されており,彼らはそれにコードされる二つの神経ペプチドを推定し,ヒポクレチン(Hypocretin)-1および-2と命名している2)。
オレキシンを動物の脳室内に投与すると摂食量の亢進が観察されることから,摂食行動との関連が推測された1)。その後,睡眠障害であるナルコレプシーにオレキシン系の機能障害が関与していることが明らかになり,オレキシンの睡眠・覚醒の制御における働きがクローズアップされることになった3,4)。オレキシン遺伝子欠損マウス,OX2R欠損マウス,OX2R欠損のイヌで,ナルコレプシーの病態が認められる5-7)。ヒトでも,ナルコレプシーの患者の死後脳において,オレキシン産生神経の数の著しい減少が報告され,ナルコレプシー患者の約90%に髄液中のオレキシン濃度の著しい低下が報告されている8)。
オレキシンを動物の脳室内に投与すると摂食量の亢進が観察されることから,摂食行動との関連が推測された1)。その後,睡眠障害であるナルコレプシーにオレキシン系の機能障害が関与していることが明らかになり,オレキシンの睡眠・覚醒の制御における働きがクローズアップされることになった3,4)。オレキシン遺伝子欠損マウス,OX2R欠損マウス,OX2R欠損のイヌで,ナルコレプシーの病態が認められる5-7)。ヒトでも,ナルコレプシーの患者の死後脳において,オレキシン産生神経の数の著しい減少が報告され,ナルコレプシー患者の約90%に髄液中のオレキシン濃度の著しい低下が報告されている8)。
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