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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻5号

2004年10月発行

文献概要

特集 生命科学のNew Key Word 9.脳の遺伝子・分子/細胞過程

ネトリンファミリー―軸索誘導因子

著者: 藤田道也1

所属機関: 1浜松医科大学

ページ範囲:P.486 - P.487

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 ネトリンファミリー(表1)は共通して特徴的なドメイン構成をもつ。N末端にラミニン(ガンマ1鎖)とその関連タンパクに共通の“ラミニンN末端ドメイン(ドメインⅥ)”LamNTをもつ。他方,C末端には補体3,4,5に存在することからC345Cと呼ばれる塩基性アミノ酸に富む配列をもつ。中間部には1-3個の“ラミニン型上皮成長因子様ドメイン”EGF_Lamがある。この構成の保存は1群と3群でとくに高い。

 ヒトのネトリン-2様タンパクnetrin-2 like protein(遺伝子名NTN2L)にはC345Cがない。このタンパクはマウスやラットのネトリン3と完全に一致したドメイン構造を示す。したがって,じつはヒトのネトリン3である。この表にネトリン2群はないが,1994年に一つの報告があるきりのニワトリのネトリン-2の実体は,ゲノムの解析によって裏打ちされたものではない(2004年現在)。ちなみに,ゼブラフィッシュのネトリン1aもネトリン2の別名をもつが,タンパク構造から完全にネトリン1群である(表1)。3群はC345Cドメインをもたず,分子の大きさも1群より小さい。ネトリン-2様タンパクを含めこの群の保存性は1群同様に高い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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