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特集 生命科学のNew Key Word 10.脳の働くメカニズムとその研究方法
大脳の大紡錘形細胞―ヒトと高等霊長類にしかない神経細胞
著者: 伊藤正男1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター
ページ範囲:P.506 - P.507
文献購入ページに移動しかし一方,19世紀終わり,W. BetzやRamón y Cajalの時代から,ヒトの大脳の一部に特別に大きい紡錘形の神経細胞があることが知られていた。Nimchinskyら1)が最近行った詳しい研究によると,この大紡錘形細胞は帯状回前部(ブロードマンの24領域)に特に多くみられ,ボノボではヒトと同様頻繁に,チンパンジーでも頻繁にみられるが,ゴリラでは数が少なくなり,オランウータンではさらに少ない。手長ザルをはじめ,新世界,旧世界ザルにはみられない。従って,この大紡錘形細胞が,脳の進化がヒトにごく近づいた1500万年から2000万年ぐらい昔に出現した特殊な神経細胞である可能性が指摘される。
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