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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻5号

2004年10月発行

文献概要

特集 生命科学のNew Key Word 12.病気

シヌクレイン―α-シヌクレインとパーキンソン病

著者: 岩坪威1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科臨床薬学教室

ページ範囲:P.538 - P.539

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 1993年,故・斎藤綱男らは,井原らがアルツハイマー病(AD)脳SDS不溶性画分中から解読した新規アミノ酸配列NACをもとに,アミノ酸140個からなる新規蛋白をコードする遺伝子をクローニングし,NACP(NAC precursor)と命名した。一方Goedertらは,AD脳に蓄積するPHFを認識するモノクローナル抗体が交差反応するアミノ酸140個ならびに134個からなる蛋白を同定した。これらの蛋白は,1988年Schellerらによりシビレエイの発電器官やラット脳のシナプス前末端に見出されていたシヌクレイン(シナプスと核を染色することからsynucleinと命名されたが,現在核への局在は疑問視されている)と相同性が高いことから,Goedertらはそれぞれα-シヌクレイン,β-シヌクレインと命名した。NACPはα-シヌクレインと同一の蛋白であることが判明し,以後α-シヌクレインと呼称されるようになった。最近になり,乳癌,後根神経節などから第3のシヌクレインファミリー分子としてγ-シヌクレインが見出されている(図1)。

 1997年,Polymeropoulosらは常染色体優性遺伝を示すイタリアおよびギリシャの家族性パーキンソン病(PD)家系において第4番染色体長腕に位置するα-シヌクレイン遺伝子の点突然変異を証明した1)。この変異は,α-シヌクレインの第53番のアラニンをスレオニンに置換し(A53T),患者はやや若年でPDを発症する。さらに家族性PDに連鎖したA30P,E46K変異やα-シヌクレイン遺伝子のtriplication2)も報告され,α-シヌクレインの家族性PD原因遺伝子としての意義付けが確立された。

参考文献

276:2045-2047, 1997
302:841, 2003
152:879-884, 1998
4:160-164, 2002
25:239-252, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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