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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻5号

2004年10月発行

文献概要

特集 生命科学のNew Key Word 12.病気

ブラディオン―ゲノムプロジェクトの産んだ分子マーカー

著者: 田中真奈実12

所属機関: 1(独)産業技術総合研究所バイオニクス研究センターブラディオンプロジェクト 2東海大学医学部

ページ範囲:P.552 - P.553

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 1分子による疾病制御はどこまで可能か。ブラディオンBradeionプロジェクトは,この疑問に明確な回答を与えるものである。ブラディオン(100%産総研特許物質)は,2003年10種類に分類されたセプチンファミリー遺伝子群1)の一型Sept4に属し,細胞の分裂・増殖に関与するGTPaseとして知られている。ブラディオン(αおよびβタイプを有する)はヒト特異的スプライスバリアントを持ち(αタイプ),正常細胞では脳(ニューロン)においてのみ,形質転換後の細胞としてはヒト大腸癌,悪性黒色腫,前立腺癌,腎細胞癌細胞に強い特異性発現が認められる。その発現比は,ニューロンでα:βが約10:1,癌細胞では1:1である2)

 元来この遺伝子は,ヒトゲノムプロジェクトの所産であり,平成9年に発見された(特許出願平成10年,承認平成12年)。細胞寿命の制御に関わる新規遺伝子を抽出するために,ヒト各臓器別cDNAライブラリーの構築を計画,当時ゲイテルスバーグにあったGIBCO/BRL社と連携して,NIHより購入したヒト臓器を用いた。特に,ヒト脳,心臓,肝臓などに大きな期待をかけ,他の多臓器ライブラリーとの発現比較を行った。ここで,発見の要は,最も重要なのは初回生産版,つまりはコピーではなくオリジナルを使用できたということである。

参考文献

13:4111-4113, 2002
286:547-553, 2001
9:483-488, 2002
9:61-68, 2003
36:1987-2004, 2004
93:1-10, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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