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特集 脳の深部を探る
外側膝状体のクロライドトランスポーターとクロライドホメオスタシス
著者: 福田敦夫1
所属機関: 1浜松医学大学医学部生理学第一講座
ページ範囲:P.567 - P.573
文献購入ページに移動一方,視覚情報は外側膝状体背側核で中継され,大脳皮質視覚野へ投射するが,この視覚情報処理には発達依存的および活動依存的な可塑性が起こることがよく知られている。これらの可塑性にかかわる神経回路網の変化は,外側膝状体および一次視覚野のレベルのそれぞれで起こるが,視覚野の可塑性の臨界期の決定におけるGABAの重要な役割が最近明らかになった。しかし,外側膝状体の可塑性におけるGABAの役割は視覚野のそれと異なることも示唆されているが,詳細はまだよくわかっていない4)。もし外側膝状体と視覚野の可塑性におけるGABA作用に差異があるとすると,前述の仮説に立てば,そのメカニズムとしてクロライドホメオスタシスの違いが関与している可能性も考えられる。そこで,本稿ではまずクロライドホメオスタシスとGABA作用の関係について振り返り,ついで外側膝状体のクロライドトランスポーターとクロライドホメオスタシスに関して,その発達過程,特に視覚野との差異に注目して行った研究について述べてみたいと思う。
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