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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻6号

2004年12月発行

文献概要

特集 脳の深部を探る

アルツハイマー病と辺縁系

著者: 小林克治1 越野好文1

所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科脳情報病態学講座

ページ範囲:P.574 - P.577

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[1]大脳辺縁系

 大脳辺縁系という名称は,1878年にBrocaがMonro孔の周囲の中心部分を縁どって大辺縁葉と命名したことに由来する。このため,大脳辺縁系は視床下部の周囲の辺縁皮質と,辺縁皮質と解剖学的に線維連絡のある皮質下領域より構成され,扁桃体,海馬体,海馬傍回,帯状回,中隔核,視床が大脳辺縁系の主要な構成要素である。高等動物ほど新皮質,すなわち連合野の容積が増大し,大脳辺縁系は脳の底面や内部に押しやられる形になった。しかし,視床下部と同様に大脳辺縁系の発達程度は哺乳動物種間ではあまり差がなく,これは大脳辺縁系が動物に共通な機能,すなわち本能,情動,原始的な感覚,記憶と自律機能に関係するからである。

 アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)は認知障害から発病し,精神病症状などの非認知障害の症状を呈しながら失外套状態へ至る疾患である。神経原線維変化(neurofibrillary tangles:NFT)と呼ばれる神経細胞内の封入体と,ベーターアミロイド蛋白(beta amyloid protein:BAP)沈着から生じる老人斑が細胞病理学的変化の中心で,この両者を合わせてアルツハイマー変化と呼ぶ。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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