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文献詳細

雑誌文献

生体の科学55巻6号

2004年12月発行

文献概要

特集 脳の深部を探る

視床線条体系による大脳皮質基底核ループ機能のモニターと切り替え

著者: 木村實1 南本敬史1 堀由紀子1

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科神経生理学講座

ページ範囲:P.598 - P.604

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 視床の髄板内核は,視覚,聴覚,体性感覚などの特殊感覚の大脳への中継核である外側膝状体(LGB),内側膝状体(MGB),腹側基底核(VB)などと異なり,網様体賦活系1)に含まれ,広範囲の大脳皮質に投射すると考えられたために非特殊核に分類されている。一方,新しいトレーサーを用いた最近の研究によって,各々の髄板内核は部位特異的な求心性投射と,大脳皮質,線条体を中心とした特異的な投射先をもつことが明らかになってきた2)。これに対して髄板内核の機能については最近までほとんど生理学的な知見が乏しく,不明であった。私たちは最近数年間,尾側部の髄板内核であるCM核およびPf核の機能を調べる研究を行い,機能仮説を提唱した3)。この仮説は大脳基底核,大脳皮質と視床髄板内核の機能に関わるものであり,髄板内核だけでなく,大脳基底核と大脳皮質との機能連関に関する新しい,検証可能な仮説である。本稿では,この仮説を中心に視床線条体投射の機能的な意義について論じる。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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