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特集 情動―喜びと恐れの脳の仕組み
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著者: 伊藤正男1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター
ページ範囲:P.2 - P.2
文献購入ページに移動情動は,感覚,知覚のように情報を処理する機能ではなくて,動物が受けた刺激のもつ情報に対する生物的な価値の判断を表現している。餌や異性のように自己の生存と子孫の維持にとって有利なものは報酬系に働きかけて喜びの快情動をおこし,不利になるものは嫌悪系に働きかけて恐れや怒りの不快情動をおこす。扁桃体が情動の価値を判断し,帯状回前部が報酬への予測によって行動への意欲を高める。そのような脳の価値判断や動機付けの仕組みは現在の機械にはないもので,類推がしにくく,研究が比較的困難であった。しかし,ロボットの進化もあって今後の進歩が待望される研究領域になりつつある。
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