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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻1号

2005年02月発行

文献概要

特集 情動―喜びと恐れの脳の仕組み

帯状皮質における動機づけ・報酬期待の神経機構

著者: 設楽宗孝1

所属機関: 1産業技術総合研究所脳神経情報研究部門システム脳科学研究グループ

ページ範囲:P.39 - P.44

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 帯状皮質は脳梁の背側に位置する前後に長い皮質領域で,内側面の帯状回および帯状溝内部よりなり,情動や動機づけに深く関わっているとされており,歴史的にはPapezの提唱した情動回路(海馬体,乳頭体,視床前核群,帯状回,海馬傍回を結ぶ神経回路)の一部となっている。より詳細に見ると,帯状皮質は前部と後部では解剖学的な神経線維連絡が異なり,その役割も異なっているといわれている。また,前部帯状皮質は,情動・動機づけに深く関連した認知制御(cognitive control)に関わっていると考えられているが,これ自体かなり広い領野であり,ヒトでは機能的MRIなどを用いた研究報告から,その前半(吻側部)がより情動に直接的に関係するaffective division(情動部位)であるのに対し,後半(尾側部)はより認知制御に役割を果たすcognitive division(認知部位)と考えられている1)

 今回は,前部帯状皮質に関して,ヒト脳の機能的イメージングによる研究報告を簡単に述べた後に,前部帯状皮質(特に尾側部)の情動・動機づけに関する役割を,報酬期待という観点からニューロン活動のレベルでわかってきたことを中心に詳しく述べてみたい。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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