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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻1号

2005年02月発行

文献概要

特集 情動―喜びと恐れの脳の仕組み

ADHD-衝動制御のメカニズム

著者: 桑原斉1 加藤進昌2

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻

ページ範囲:P.58 - P.64

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 注意欠陥/多動性障害(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:ADHD)とは,不注意,多動性,衝動性が同年齢の子供たちと比べて著しく不相応であることを診断基準とする児童期の精神障害である1)。その頻度は学齢期の子供の4~12%にみられるとされ,男女比は4:1~9:1とされている2)。多動性は年齢を経るにつれ改善することが多いが,不注意は続き,忘れ物の多さ,指示された学習ができないなどの問題があり,知的レベルと学業成績の乖離が著しいために反抗的あるいは怠惰と評価されやすい。また,良好な友人関係を成立させることが難しく,集団に入ることができずに,からかい,いじめの対象になることもある3)

 近年では未成年者による重大犯罪の増加,いわゆる「切れる子供」の問題とADHDとの関連が指摘されており,社会的にもADHDに対する注目は増している4)。不注意,多動性,衝動性というADHDを特徴付ける三つの症状のうち社会,司法において問題になるのが衝動性だと考えられている5)。また,ADHDの根本にあるのが衝動的な反応を抑える能力の欠如だという考え方も提唱されている。これはつまり,ADHDの患者は,現在していることと無関係の合図や刺激,出来事などへの反応を抑えることが特に難しく,結果として不注意・多動性を生じているとする考え方である6)

参考文献

1)American Psychiatric Association:Diagnostic and statistical manual of mental disorders-Ⅳ, Washington, DC, 1994
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3)白木澤史子:多動性障害.佐藤泰三,市川宏伸(編),臨床家が知っておきたい「子供の精神科」,pp154-160,医学書院,東京,2002
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7)山崎晃資:注意欠陥/多動性障害.山崎晃資,牛島定信,栗田 宏,青木省三(編),現代児童精神医学,pp156-170,永井書店,大阪,2002
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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