icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻2号

2005年04月発行

文献概要

特集 味覚のメカニズムに迫る

味覚の中枢

著者: 山本隆1

所属機関: 1大阪大学大学院人間科学研究科行動生態学講座行動生理学研究分野

ページ範囲:P.114 - P.123

文献購入ページに移動
 砂糖は甘くておいしいが,キニーネ溶液は苦くてまずい。お腹がいっぱいといいながらも甘くておいしいデザートならスーっと入ってしまう。人によってはマヨネーズが好きで何にでもかけてしまう。このように味覚の特徴は甘い,苦い,塩からいといった味の質的な認知とともに必ず快・不快(おいしい・まずい)の情動性を伴うことにある。さらに忘れてはならないことは,味覚は食行動を大きく左右することである。おいしいと思えばもっと食べたいと思い,実際の摂食行動が生じる。また,食べ物の味は情動性要因とともにすみやかに記憶され,好き嫌いの嗜好性発現にも結びつく。いったん好きになるとやみつきになって,いつでもどこでも食べたくなることもまれではない。

 本稿では以上のような味覚発現から食行動に至る脳機序について解説したいのではあるが,紙面に限りがあるので筆者の興味のあるトピックに絞って記載することをお許し願いたい。

参考文献

10:7-14, 1999
20:1-13, 1994
146:141-164, 1989
4)Travers SP, Becker DS, Halsell CB et al:In Olfaction and Taste XI. Kurihara K, Suzuki N, Ogawa H(eds), pp396-401, Springer-Verlag, Tokyo, 1994
54:349-358, 1984
53:1356-1369, 1985
53:1370-1386, 1985
61:1244-1258, 1989
56:1197-1202, 1994
29:2005(in press)
56:876-890, 1986
127:347-353, 2004
13)Erickson RP:Sensory neural patterns and gustation. Zotterman Y(ed), Olfaction and Taste I, pp 205-213, Pergamon Press, Oxford, 1963
60:1303-1321, 1988
284:1-5, 1998
92:3298-3308, 2004
28:245-251, 2003
55:11-29, 2004
23:1271-1282, 2004
56:12-22, 1984
8:3570-3583, 1988
69:1810-1820, 1993
6:2424-2428, 1995
393:417-418, 1998
383:812-815, 1996
94:4119-4124, 1997
121:1143-1154, 1998
87:1068-1075, 2002
85:1315-1321, 2001
8:3913-3917, 1997
92:1892-1903, 2004
18:891-894,2002
33)山本隆,山本千珠子,安藤千穂・他:日味と匂学誌 10:217-222,2003
332:171-174, 2002
35)安藤千穂,山本隆:日味と匂学誌 10:511-514,2003
36)Bures J, Bermudez-Rattoni F, Yamamoto T:Conditioned Taste Aversion:Memory of a Special Kind, Oxford Univ. Press, Oxford, 1998
22:31-49, 1995
8:1363-1367, 1997
27:403-406, 1991
92:265-279, 2004
22:122-132, 2004
298:2013-2015, 2002
14:1267-1271, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?