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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻2号

2005年04月発行

文献概要

実験講座

味蕾細胞の初代培養系

著者: 岸幹也1 榎森康文2 阿部啓子3

所属機関: 1(株)ミツカングループ本社中央研究所 2東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻 3東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学

ページ範囲:P.137 - P.143

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 一つの味蕾には40~120個程度の異なるタイプの細胞が含まれている。その中には味を受容・伝達する味細胞が10~30%存在する。近年,味覚受容と味細胞のシグナル伝達系に機能する遺伝子の同定とその発現解析が進み,分子の面で味蕾の理解が進んでいる。しかし,味蕾細胞の一つ一つを取り出し,それらを分子細胞生理学的に観察・解析するには多くの技術的な問題が当初から存在し,現在でも残されている。

 すでに本書の別稿にあるとおり,味蕾を構成する細胞は様々である。このヘテロな細胞集団を分類する重要なキーワードは3個ある。一つ目は機能であり,味蕾には味細胞のほか,構造維持や分泌などの機能を持った(味細胞とは明らかに異なる)支持細胞などがある。二つ目は形態である。味細胞を含む多くの味蕾細胞は紡錘形であるが,その形状は一様ではなく,また,基底部側には円形(球形)に近い細胞も存在する。三つ目は時間である。味蕾細胞は平均10日程度の寿命しかなく,常にターンオーバーしている。したがって,味蕾の細胞はどこか(おそらく味蕾の基底部側近傍)で生まれ,味蕾中で分化・成熟し,やがて寿命を迎えて死ぬ。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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