icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻3号

2005年06月発行

文献概要

特集 Naチャネル

「非典型的」Naチャネルと神経機能

著者: 筒井秀和1 岡良隆2

所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター 2東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻生体情報学

ページ範囲:P.181 - P.189

文献購入ページに移動
 この稿では,従来,一般には非典型的で例外的と考えられてきたNaチャネルが,実は中枢神経系の神経機能において重要な役割を果たしているのではないか,という可能性についてわれわれの最近の研究成果を中心にレビューする。

 われわれは,変化する外界の環境に対して生物が柔軟で適応的な反応をすることに興味を持ち,このとき神経系の情報処理において中心的役割を果たすイオンチャネル・レセプターの生物学的機能や神経核における情報処理の機構を解明するために,実験に有利な特徴を極めて多く持つある種の魚類脳内ペプチドニューロンと,それとは別種の魚類脳の視床神経核に注目し,各種の神経生物学的手法を駆使して多角的研究を展開してきた。その過程において,生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone, GnRH)と呼ばれるペプチドを産生するニューロンが常に示す規則的な自発活動であるペースメーカー活動が,テトロドトキシン耐性持続性Naチャネルにより生成されること,および,視床神経核の投射ニューロンがシナプス入力刺激や電流注入に対して示す特徴的な応答が,不活性化状態からの回復が極めて遅いNaチャネルの性質に基づくこと,を発見した。以下に,それぞれの系におけるNaチャネルの特徴とその生理的機能について述べることにする。

参考文献

1)Oka Y:GnRH Neurons:Genes to Behavior, Parhar IS, Sakuma Y(eds), pp245-276, Brain Shuppan Publishers, Tokyo, 1997
141:259-281, 2002
13:2161-2176, 1993
(London) 482:1-6, 1995
75:2397-2404, 1996
83:3196-3200, 2000
7)Haneda K, Oka Y:unpublished data
28:219-228, 1978
147:89-108, 1975
151:397-418, 1977
205:291-298, 1982
12)伊藤博信・吉本正美:神経系.板沢靖男,羽生功(編),魚類生理学,pp363-402,恒星社厚生閣,東京,1991
85:1167-1177, 2001
539:743-753, 2002
17:6516-6521, 1997
17:6639-6646, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?