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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻3号

2005年06月発行

文献概要

特集 Naチャネル

後根神経節ニューロンにおける電位依存性Naチャネルの機能的分類

著者: 松冨智哉1 緒方宣邦1

所属機関: 1広島大学大学院医歯薬学総合研究科神経生理学

ページ範囲:P.190 - P.198

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 電位依存性ナトリウムチャネル(Naチャネル)は膜電位の変化に応じて開閉し,興奮性細胞において活動電位(スパイクあるいは神経インパルス)の発生を引き起こす膜蛋白質である。Naチャネルは従来,比較的種差や組織差,あるいは機能差の少ないイオンチャネルであると考えられてきた。しかし最近の研究により,Naチャネルには多くのサブタイプが存在し,それらの機能は発現している組織の種類やチャネル機能を制御する調節蛋白質の有無などによって大きく影響を受けることが明らかになってきた。また,サブタイプの中には,組織特異性を示すものが多く,Naチャネルがさまざまな生体機能に役割を果たしていることをうかがわせる。

 Naチャネルの中心的な役割の一つに,末梢(一次知覚神経)から中枢への活動電位による感覚情報の伝搬がある。一次知覚神経には8種類のNaチャネルサブタイプが発現しているが,これらは一様に分布しているわけではなく,ニューロンの種類によって発現パターンが異なっている。このような,異なったNaチャネルサブタイプの分布が,多様な感覚モダリティの伝搬に関与していると考えられる。しかし,異なった性質を持つそれぞれのNaチャネルサブタイプが,実際にどのように感覚伝搬における活動電位の発生に寄与しているのかに関しては,未だはっきりとはわかっていない。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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