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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻3号

2005年06月発行

文献概要

特集 Naチャネル

上皮型Naチャネル(ENaC)活性化因子プロスタシンによるNa再吸収調節

著者: 北村健一郎1 冨田公夫1

所属機関: 1熊本大学大学院医学薬学研究部腎臓内科学

ページ範囲:P.211 - P.215

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 プロスタシンは,1994年にChaoのグループが新規セリンプロテアーゼの精製を目指し,ヒト精液より精製した分子量40kDaのセリンプロテアーゼである1)。プロスタシンはpI4.5~4.8で,トリプシン様の酵素活性をもち,合成基質をもちいた検討ではアルギニン残基のC末端を選択的に切断することが判明している。酵素活性の至適pHは9.0付近で,アプロチニン,ベンザミジン,アンチパイン,ロイペプシンなどにより活性は阻害される。アミノ酸レベルでは血漿カリクレイン,凝固系第Ⅺ因子,hepsin,プラスミノーゲン,acrosin,testisin,prostaseなどのセリンプロテアーゼに相同性を持つ。組織分布は前立腺,腎臓,大腸,肺,胃,皮膚,膵臓,肝臓,唾液腺,卵巣などに発現が認められる。

 1995年にヒトプロスタシンのcDNAがクローニングされ2),light chainおよびheavy chainから構成されるGPI-anchored proteinであることが判明した。また,ヒトではプロスタシン遺伝子は第16番染色体に(16p11.2)マップされる3)。1997年にRossierのグループがA6細胞から上皮型Naチャネル(ENaC)を活性化するセリンプロテアーゼとしてCAP-1(channel-activating protease-1)をクローニングし4),2000年および2001年にそのmammalian homologueがプロスタシンであり,プロスタシンがENaCを活性化することが示され5,6),以来急速にプロスタシンの機能解析が進展した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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