icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻3号

2005年06月発行

文献概要

特集 Naチャネル

Naチャネル異常による不整脈疾患―いかに分子異常を病態と結びつけるか

著者: 伊藤英樹1 井本敬二1

所属機関: 1自然科学研究機構生理学研究所神経シグナル研究部門

ページ範囲:P.230 - P.234

文献購入ページに移動
 遺伝子情報の蓄積や技術的な進歩により,遺伝子異常の同定は目覚しく加速化され,遺伝子異常に起因する疾患の数は急速に増加している。疾患全体から考えれば,単一の遺伝子異常による疾病は少数であろうが,これらの疾病は病態を理解する上で重要な情報を提供してくれると期待されている。しかし遺伝子異常の解明がただちに病態の理解や治療法の開発につながる訳ではないことは,家族性アルツハイマー病の例を見れば明らかであろう。分子の異常と個体の疾病の間の因果関係をたどっていくことは,それほど容易なことではないようである。

 イオンチャネルは細胞膜にある膜タンパクであり,骨格筋,心筋,神経細胞など興奮性細胞の電気活動と密接に結びついている1)。他の疾患の場合と比較して,イオンチャネル異常による疾患にはいくつかの特徴があると考えられる。すなわち分子の異常と細胞・臓器の異常の関係が比較的直接的である。また,イオンチャネルの機能解析が定量的に可能であり,培養細胞などの発現系を用いて機能解析を行うことも確立された技術となっている。これらの点は,分子の異常と病態を結びつける研究として,イオンチャネルの異常による疾患が一つのモデルケースになりうることを示唆している。

参考文献

1)Hille B:Ion channels of excitable membrane, 3rd ed., Sinauer Associates, Sunderland, MA, 2001
89:554-558, 1992
75:114-122, 1994
12:187-193, 2003
93:821-828, 2003
109:1421-1427, 2004
16:378-383, 2005
(in press)
84:505-534, 1984
400:566-569, 1999
105:1208-1213, 2002
53:105-123, 2003
91:1176-1182, 2002
84:431-488, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?