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連載講座 個体の生と死・35
ヒトの生物学的死と長寿科学
著者: 祖父江逸郎12
所属機関: 1名古屋大学 2愛知医科大学
ページ範囲:P.254 - P.259
文献購入ページに移動 高齢社会を迎え様々のことが変ってきたが,中でもとりわけ注目され,関心も深く,話題となっているのは,死をめぐる問題である。高齢が現実のものとなり,高齢で過す期間の延長と共に,人間のもつ種々の不安が表面化してきた。すべての人間はやがて死を迎え,この世を去るわけで,避けて通れないのが死であることは当然よくわかっている。実際には,死に至る道程はどうか,その過程での苦しみ,死後の家族はどうなるのか,死後の様々の変化はどうか,など未知のことがあまりにも多いだけに,やたらに不安がつのるのは当然であろう。
ヒトは生物である限り,その死も生物学的なもので,したがって死は生物学的側面から直視すべきであるが,同時に社会の一員としての存在でもあるため,社会的な複雑な関係の中で死が考えられる。ヒトの死をキーワードとした場合,関連する領野は幅広く,裾野は際限なく広がっていく。したがって,広汎な領域にまたがり,学際的な広がりをもつ長寿科学とは重なりが大きく,密な関連をもつ。こんなことを頭に浮べながら,ヒトの生物学的死と長寿科学についてまとめてみた。
ヒトは生物である限り,その死も生物学的なもので,したがって死は生物学的側面から直視すべきであるが,同時に社会の一員としての存在でもあるため,社会的な複雑な関係の中で死が考えられる。ヒトの死をキーワードとした場合,関連する領野は幅広く,裾野は際限なく広がっていく。したがって,広汎な領域にまたがり,学際的な広がりをもつ長寿科学とは重なりが大きく,密な関連をもつ。こんなことを頭に浮べながら,ヒトの生物学的死と長寿科学についてまとめてみた。
参考文献
1)江上信雄:老化と寿命,東京書籍,東京,1978
2)鈴木信:百歳の科学,新潮社,東京,1988
3)立川昭二:見える死,見えない死,筑摩書房,東京,1988
4)祖父江逸郎:高齢者の生活と長寿科学,長寿科学振興財団,1991
5)山田武,大山ハルミ:アポトーシスの科学,講談社,東京,1994
6)渡辺厳太郎:寿命,ここまできた健康科学,桐原書店,東京,1996
33(2):132-137,1996
8)桃井隆:アポトーシスの概念と分子機構,神経内科 53:309-319,2000
9)小山敏雄:アポトーシスⅢ(細胞死についての総説),山梨中病年報 27:4-8,2000
10)田内久:百寿者の秘密,裳華房,東京,2000
11)祖父江逸郎:臨床瑣論―健康,医療,長寿―,医歯薬出版,東京,2002
12)厚生統計協会編:国民衛生の動向,2003
13)藤田恒夫,牛木辰男:細胞紳士録,岩波書店,東京,2004
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