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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻4号

2005年08月発行

文献概要

特集 脳の遺伝子―どこでどのように働いているのか

大脳皮質形成時に見られる領域および層特異的な遺伝子発現とその意義

著者: 井上高良1

所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所微量定量研究室

ページ範囲:P.266 - P.271

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 脊椎動物の脳・神経系はそれぞれの生活環境に適応すべく多様な形態機能変化,つまりは「進化」を遂げてきた。例えばわれわれヒトを含む哺乳類の前脳部には他の脊椎動物に認められない細胞組織構築で大別される「大脳(新)皮質:cerebral(neo)cortex/isocortex」注)という脳領域が存在し,この領域の中に霊長類だけが前頭連合野とよばれる特殊化した機能区画を有している。さらにわれわれヒトは高度な個体間コミュニケーションを司る皮質領域,「言語野」を左脳半球優位に発達させており,これがヒト固有の複雑な行動様式や記憶,認知能力ひいては文字,文化,社会形成の源になっているといっても過言ではない。また,ヒトでは大脳皮質形態形成に異常をきたすため行動,認知,精神の発達や機能障害を引き起こす先天性疾患が数多知られている。

 本稿では大脳皮質を特徴づける細胞組織構築(6層構造)およびその領域特異性に対応して発現する遺伝子群についてふれ,実際これら遺伝子群が皮質発生過程においてどのような役割を担うのか,そしてそういった遺伝子群の発現や機能をもとに,ヒト大脳皮質の先天的形態異常を含めた遺伝子発現プログラムの進化変遷過程をどこまで説明できるようになったのか,最新の知見をまじえながら概説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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