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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻4号

2005年08月発行

文献概要

特集 脳の遺伝子―どこでどのように働いているのか

転写因子Foxp1は脳のどのような部分のニューロンに発現しているか

著者: 森川吉博1 久岡朋子1 仙波恵美子1

所属機関: 1和歌山県立医科大学第二解剖学

ページ範囲:P.280 - P.285

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 中枢神経系の発達はニューロンやグリア細胞などの多種多様な細胞の産生により成り立っている。この発生過程は種々の遺伝子群が適切な時期に,適切な場所で発現することにより遂行される。この時空間的遺伝子発現は転写因子によりDNAレベルで厳密に制御されている。

 1990年,フォークヘッドドメインは肝細胞転写因子3(HNF-3;hepatocyte nuclear factor-3)とショウジョウバエのフォークヘッド遺伝子のDNA結合ドメインとの間にホモロジーがあることから発見され,ショウジョウバエから哺乳類にいたるまでよく保存された新しい転写因子の存在が示唆された1,2)。このファミリーのメンバーは細胞の分化や増殖の制御,パターン形成,シグナル伝達など非常に広範囲の役割を担っていることが報告されてきたが,近年,Foxg1(以前はBF-1と呼ばれていた)が終脳の発達の重要な調節因子であることが示された3,4)。さらに,ヒトFoxp2遺伝子の変異が重篤な言語障害や発語障害の患者において見出された5)。Foxp1とFoxp2はマウスのCC10とヒトのサーファクタントタンパクCのプロモータを抑制する遺伝子として発見されたが,これらの遺伝子は肺のほかに中枢神経系においても発現がみられた6)。今回,フォークヘッド転写因子,とくにFoxpファミリーについて概説するとともに,最近われわれが明らかにしたFoxp1遺伝子の中枢神経系での発現について述べ,その機能について考察する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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