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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻4号

2005年08月発行

文献概要

特集 脳の遺伝子―どこでどのように働いているのか

両生類の頭部形成にWntシグナリングはどのようにかかわるのか

著者: 道上達男1 浅島誠2

所属機関: 1科学技術振興機構ICORPプロジェクト 2東京大学大学院総合文化研究科

ページ範囲:P.303 - P.310

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 20世紀初頭,シュペーマンとマンゴルドによって初期胚のオーガナイザーが発見されて以来,脊椎動物のボディプランに関する研究が数多くなされてきた。これらの実験では両生類(主にイモリとツメガエル)の初期胚を用いられることが多かった。その大きな理由の一つは胚の大きさ(アカハライモリ:約2mm,アフリカツメガエル:約1.2mm)である。さらに,割球の粘性が高く,発生学の基本である移植実験を外科的手法により容易に行うことができる。これらの特徴を生かし,脊椎動物の初期発生,特に背腹軸・前後軸の決定に関して重要な基本的知見が得られてきた。

 もう一つ重要な点は,多少の相違点はあるものの,こうして得られた基本的なボディパターン決定機構はヒトを含む哺乳動物のそれと共通点が極めて多いことである。従って,両生類を用いた研究そのものが頭部形成を含むヒトのボディパターン決定機構解明に大きな寄与を果たすことが十分に期待される。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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