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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻5号

2005年10月発行

文献概要

特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 1.遺伝子発現

HNF-1α(TCF1)

著者: 井手茜1 川崎英二2 江口勝美1

所属機関: 1長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科 2長崎大学医学部・歯学部附属病院生活習慣病予防診療部

ページ範囲:P.364 - P.365

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 Hepatocyte nuclear factor-1α(HNF-1α)はホメオドメインを含む転写因子の一つであり,別名transcription factor 1とも呼ばれ,肝の発生・分化や肝細胞特異的遺伝子発現に重要な核内転写因子である。肝臓に豊富に発現しているが,腎,小腸のほか膵β細胞でも発現がみられる1,2)。HNF-1αは莫大な数の遺伝子発現を直接調節しており3),HNFファミリーの転写因子ネットワークを介してそれらの遺伝子発現にも多彩な影響を与えている(図1)4,5)

 HNF-1α遺伝子は染色体12q24.2に存在し6),総アミノ酸数631の四つの機能的領域,すなわち二量体形成ドメイン(1-32残基),DNA結合ドメイン(98-280残基),転写活性ドメイン(281-631)と,二量体形成ドメインとDNA結合ドメインをつなぐフレキシブルリンカー(33-97残基)から成り立っている7)。HNF-1αのノックアウトマウスは著明な肝腫大とwasting syndromeのため生後まもなく死亡するが,ヒトのFanconi症候群に似た尿細管障害も示す。ホモ接合体ではインスリン分泌不全,糖尿病を発症し,また胆汁酸輸送担体遺伝子の転写が障害され,総コレステロール値が上昇することが明らかにされている。

参考文献

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303:1378-1381, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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