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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻5号

2005年10月発行

文献概要

特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 1.遺伝子発現

Runt関連転写因子2(RUNX2)

著者: 吉田丈俊1 金兼弘和1

所属機関: 1富山医科薬科大学小児科

ページ範囲:P.368 - P.369

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RUNX2

 RUNXファミリーは,ショウジョウバエの体節形成遺伝子の中のペアルール遺伝子のひとつruntにホモロジーをもつRuntドメイン遺伝子ファミリーに属する転写因子である。RUNXはαおよびβサブユニットからなるヘテロ二量体で,ほかの転写因子や補助因子と結合して標的遺伝子の転写活性をコントロールし,造血・骨形成といった特定の細胞の分化,増殖に関わる重要な働きを担っている1)RUNXは哺乳類では3種類のαサブユニットが同定されている。発見の経緯により複数の名称が存在し,それぞれRUNX1CBFA2/PEBP2αBRUNX2CBFA1/PEBP2αARUNX3CBFA3/PEBP2αCと命名されていたが,簡素化するためrunt-related gene,Runxと統一された1)。この3種類のαサブユニットは保存されたRuntドメインを有し,特異的なDNA配列Pu/TACCPuCPu(PuはAまたはGを示す)に結合し,転写活性を調節する1,2)。βサブユニットは哺乳類では1種類存在し,それ自体ではDNA結合しないが,αサブユニットのRuntドメインに結合することにより,αサブユニットのDNA結合能を増強する2)

 RUNX2は未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化を決定づける転写因子であり,骨芽細胞においてosteocalcin,osteoprotegerin,TGF-β receptor 1,osteopontin,collagenase 3などの発現を調節している3)。一方,軟骨細胞ではosteopontin,collagenase 3,vascular endothelial growth factor(VEGF)の発現を調節している3)RUNX2ノックアウトマウスは骨形成が阻害され,生後すぐに死に至る。組織学的には,成熟骨芽細胞は出現せず,軟骨細胞は前肥大軟骨の前段階で分化がストップし,破骨細胞は細胞数が減少し小型化していた4)。このようにRUNX2は骨芽細胞,軟骨細胞,破骨細胞分化や歯の発生にも重要な因子であり,骨形成のマスターレギュレーターとなる存在である5)

参考文献

1)伊藤嘉明:蛋白質核酸酵素 45:1-6,2000
2)重定勝哉:蛋白質核酸酵素 45:55-62,2000
6:169-173, 2004
89:755-764, 1997
5)小守壽文:蛋白質核酸酵素 45:13-17,2000
89:765-771, 1997
89:773-779, 1997
8)吉田丈俊・他:日小児学誌 105:442-447,2001
71:724-738, 2002
65:1268-1278, 1999
5:376-387, 2005
23:4198-4208, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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