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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻5号

2005年10月発行

文献概要

特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 2.酵素および酵素制御

DNAメチル基転移酵素3B(DNMT3B)

著者: 久保田健夫1

所属機関: 1山梨大学大学院医学工学総合研究部環境遺伝医学講座

ページ範囲:P.378 - P.379

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ゲノムのメチル化とDNAメチル基転移酵素

 ゲノムの安定化のため,また遺伝子の適切な発現のため,ヒトゲノム(染色体)DNAには飾り付けが施されている。この修飾は個体発生の初期に細胞の運命に沿って施され,その後は分裂をくり返してもゲノムの記憶として忠実に伝承される。これはヒトのからだの正常な個体発生とその機能の維持に必須のメカニズムである1)。ゲノムの記憶のくずれは老化となり,癌化となる。ゲノムの修飾とは,具体的にはDNAのメチル化修飾であり,それが契機となって生じる一連の染色体ヒストン蛋白の修飾である。

 ヒトゲノムDNAのメチル化とは,DNAメチル基転移酵素によって,CpG二塩基配列のシトシン塩基上にメチル基(CH3基)が付与されることである。ヒトゲノムDNA上のCpG配列のほとんどはこのメチル化を受けている。しかしながら,遺伝子の発現に関与するプロモーター領域は例外的にCpGのメチル化を免れている。プロモーター領域のメチル化は,スイッチの意義をもっている。したがって誤ったメチル化は誤って遺伝子のスイッチを切ってしまうことになり,これが癌や先天異常といったさまざまな疾患の発症要因となっている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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