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特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 2.酵素および酵素制御
著者: 萬谷博1 遠藤玉夫1
所属機関: 1財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所老化ゲノム機能研究チーム
ページ範囲:P.380 - P.381
文献購入ページに移動POMGnT1は660個のアミノ酸からなり,N末側の約40アミノ酸が細胞質側,幹領域と触媒活性領域を含むC末側の大部分が管腔側に存在するⅡ型膜結合蛋白質である。POMGnT1のArg367-Gly505の領域はGnT-Ⅰの触媒活性領域との相同性が高く,POMGnT1のN末端側から298個およびC末端側から9個のアミノ酸を除いても触媒活性は保持されることから,Val299-Glu651が触媒活性領域であると考えられる3)。GnT-ⅠのX線構造解析から,触媒活性領域にある16個のアミノ酸がUDP-GlcNAcとMn2+の結合に必要であることが示されており,糖転移酵素に特徴的なD/E-X-Dモチーフがこの中に含まれている4)。これら16個のアミノ酸のうちD/E-X-Dモチーフと,触媒活性中心と予想されるアスパラギン酸残基を含む10個のアミノ酸がPOMGnT1で保存されている。また,GnT-Ⅰの触媒領域でジスルフィド結合を形成することが示されている二つのシステイン残基もPOMGnT1で保存されており,POMGnT1もGnT-Ⅰの触媒活性ポケットと同様の構造を形成するものと予想される2)。
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