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特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 2.酵素および酵素制御
UDP-
著者: 野口悟1 埜中征哉2
所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部 2国立精神・神経センター武蔵病院
ページ範囲:P.384 - P.385
文献購入ページに移動縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(distal myopathy with rimmed vacuoles, DMRV)は,1981年に埜中らにより国際的に初めて報告された疾患である3)。常染色体劣性の遺伝性筋疾患で15-40歳にかけて発症する。下腿の前脛骨筋が好んで侵される。筋力低下と筋萎縮は進行性で,下腿のみならず大腿後部,腰帯部も次第に侵され,発症から平均12年で歩行不能となる。比較的後期まで大腿四頭筋は保たれる。筋組織の病理学的特徴は,病名にもある縁取り空胞の形成である。筋線維の大小不同があり,多数の小角化した萎縮線維が認められるが,縁取り空胞はこの萎縮した筋線維に多い。壊死線維や再生線維はほとんど認められない。電子顕微鏡観察では,縁取り空胞は多数の自己貪食空胞とミエリン様小体(myeloid body)が集まったものである。この自己貪食空胞は,局所的な筋原線維変性部位を取り囲むように存在していることから,オートファジーが二次的に活性化されたものであると考えられる。また,核内にはしばしば,直径15-20nmの線維状の封入体が認められる。さらに,筋線維内にはアミロイドの沈着,リン酸化タウやユビキチン化タンパク質の蓄積が認められる。アポトーシスの関与を示唆する報告もある4)。
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