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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻5号

2005年10月発行

文献概要

特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 2.酵素および酵素制御

UDP-N-アセチルグルコサミン-2-エピメラーゼ/N-アセチルマンノサミンキナーゼ(GNE)

著者: 野口悟1 埜中征哉2

所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部 2国立精神・神経センター武蔵病院

ページ範囲:P.384 - P.385

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 UDP-N-アセチルグルコサミン-2-エピメラーゼ/N-アセチルマンノサミンキナーゼ(GNE/MNK;EC5.1.3.14およびEC2.7.1.60)は,シアル酸(シアル酸転移酵素に対するシアル酸供与基質)の生合成経路において,UDP-N-アセチルグルコサミンからN-アセチルマンノサミン(ManNAc)へのエピマー化とManNAcのC6位の水酸基のリン酸化の2反応を触媒する酵素である1)。約75kDaのタンパク質で,アミノ末端側の原核生物のGNEと相同性のあるドメインと,カルボキシ末端側の糖キナーゼと相同性のあるドメインからなる。発現タンパク質は,機能ドメインとして,アミノ末端半分はGNE,カルボキシ末端半分はMNK活性を持つことが証明されている2)。活性型は二量体が三つ会合した六量体として存在する。つまり,この六量体形成はGNE活性に必須である。

 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(distal myopathy with rimmed vacuoles, DMRV)は,1981年に埜中らにより国際的に初めて報告された疾患である3)。常染色体劣性の遺伝性筋疾患で15-40歳にかけて発症する。下腿の前脛骨筋が好んで侵される。筋力低下と筋萎縮は進行性で,下腿のみならず大腿後部,腰帯部も次第に侵され,発症から平均12年で歩行不能となる。比較的後期まで大腿四頭筋は保たれる。筋組織の病理学的特徴は,病名にもある縁取り空胞の形成である。筋線維の大小不同があり,多数の小角化した萎縮線維が認められるが,縁取り空胞はこの萎縮した筋線維に多い。壊死線維や再生線維はほとんど認められない。電子顕微鏡観察では,縁取り空胞は多数の自己貪食空胞とミエリン様小体(myeloid body)が集まったものである。この自己貪食空胞は,局所的な筋原線維変性部位を取り囲むように存在していることから,オートファジーが二次的に活性化されたものであると考えられる。また,核内にはしばしば,直径15-20nmの線維状の封入体が認められる。さらに,筋線維内にはアミロイドの沈着,リン酸化タウやユビキチン化タンパク質の蓄積が認められる。アポトーシスの関与を示唆する報告もある4)

参考文献

39:24313-24318, 1997
40:28771-28778, 1999
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59:1689-1693, 2002
279:11402-11407, 2004
64:1563-1569, 1999
166:1121-1130, 2005
99:5267-5270, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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