文献詳細
特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
4.受容体
PPAR-γ/peroxisome-proliferator-activated receptor-γ(PPARG)
著者: 田守義和1 春日雅人1
所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講座糖尿病代謝・消化器・腎臓内科
ページ範囲:P.414 - P.415
文献概要
PPARは,まずPPAR-αが齧歯類の肝細胞において,ペルオキシソーム増殖作用を持つ化合物で転写活性能が誘導される核内受容体型転写因子として同定された1)。これに続きPPAR-β/δ2),PPAR-γ3)の二つのアイソフォームが単離され,これら3種類のサブタイプでファミリーを形成していることが明らかとなった。PPARはそのN末側にDNA結合領域(DBD)をもち,C末側にリガンド結合部位(LBD)を有する構造をとるリガンド依存性核内受容体型転写因子である。基本的に,9cisレチノイン酸をリガンドとするレチノイドXレセプター(RXR)とヘテロ二量体を形成し,遺伝子上流の転写調節領域に存在するPPAR応答配列(PPAR-response element:PPRE)に結合して標的遺伝子の転写活性を調節する(図1)。
1994年に,PPAR-γは脂肪酸をリガンドとして前駆脂肪細胞から成熟脂肪細胞への分化を促進する機能をもつことが示された4)。PPAR-γには組織特異的なスプライシングの違いにより,比較的発現量は低いものの免疫系組織,心臓,骨格筋,小腸,副腎,脂肪細胞など多くの臓器に発現しているγ1と,ほぼ脂肪細胞特異的に強い発現を示すγ2の2種のアイソフォームが存在する。PPREをもつPPAR-γの標的遺伝子としてはaP2,CD36,LPL,perilipin,アディポネクチンなど脂肪細胞の分化や脂質代謝に関連する分子が知られている。
参考文献
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