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特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 4.受容体
線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)
著者: 森山啓司1 谷本起穗1
所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部口腔顎顔面矯正学分野
ページ範囲:P.416 - P.417
文献購入ページに移動FGFRはチロシンキナーゼ型レセプターファミリーに属し,FGFR1-4の4種類が同定されている。構造は,細胞外領域に免疫グロブリン様領域(Ig domain),酸性ボックス領域,膜貫通領域,細胞内領域には2個のチロシンキナーゼ領域を有する。FGFR1-3のゲノムにはIgⅢの後半部分をコードするエクソンが二つ(Ⅲb,Ⅲc)あり,この部分の組織特異的なスプライシングによってFGFR2ではⅢbアイソフォームは上皮系細胞に,Ⅲcアイソフォームは間葉系細胞に発現し,異なるリガンド特異性を有する。頭蓋冠縫合部における骨成長および肢芽の発生にFGFR/FGFシグナルが重要な役割を担っていることが報告されているが1-3),中でもFGFR2Ⅲc遺伝子が発生中の頭蓋骨のosteogenic frontに限局して発現することから,FGFR2シグナルは頭蓋縫合部における骨芽細胞の増殖,分化に重要であることが伺われる2)。FGFR2Ⅲcは膜性骨化のみならず軟骨内骨化にも影響を与えることから,長管骨の形成異常の病態成立にFGFR2Ⅲb/cのシグナル異常が関与する可能性も示唆される。FGFR2のノックアウトマウスは胎生致死である4)が,ノックアウトマウスのキメラマウスおよびFGFR2Ⅲbのコンディショナルノックアウトマウスの解析の結果,fgf10ノックアウトマウス3)と同様に四肢・肺が形成されないことが報告されている。
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