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特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 4.受容体
β3アドレナリン作動性受容体(ADRB3)
著者: 奥村健二1 村上隆一郎1
所属機関: 1名古屋大学医学部循環器内科
ページ範囲:P.418 - P.419
文献購入ページに移動β3アドレナリン作動性受容体(β3-AR)はヒトでは408個のアミノ酸残基よりなり,β1,2-ARに共通した7回膜貫通型のG蛋白質共役型受容体である。膜の内側のC末端は短いので,プロテインキナーゼAとβ-アドレノセプターキナーゼのリン酸化部位がないため脱感作が受けにくい。カテコールアミンの受容体刺激により4番目の細胞内ドメインのCys361残基のパルミチン酸化した部位はアデニリルシクラーゼを活性化し,G蛋白質と共役し細胞内cyclic AMP濃度を高めてその作用を発揮する1)。
一番特色のある作用は,白色および褐色脂肪組織の脂肪細胞においてみられる。β3-ARが最も多く発現している褐色脂肪組織では,その組織に多いミトコンドリア内膜の脱共役蛋白質1(UCP-1)を活性化し,脂肪酸を熱として処理し,体を寒冷より保護する。一部の熱産生には白色脂肪組織も関与する2)。β3-ARが刺激された結果,増加するcyclic AMPは白色および褐色脂肪組織においてホルモン感受性リパーゼを活性化し,貯蔵されている中性脂肪を分解し脂肪酸として放出する3)。
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