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特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 4.受容体
グルタミン酸受容体,イオノトロピック,AMPA2(GRIA2)
著者: 西本祥仁1 日出山拓人1 郭伸1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科神経内科学
ページ範囲:P.424 - P.425
文献購入ページに移動中枢神経系においてグルタミン酸(以下Glu)は興奮性神経伝達物質として知られ,その受容体はイオンチャネル型,代謝調節型に分類される。イオンチャネル型受容体はさらにα-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole propionic acid(AMPA)受容体,kainic acid(KA)受容体,N-methyl-D-aspartic acid(NMDA)受容体に分けられ,急性の神経細胞死に関与していることが知られていた。さらに近年の細胞培養系1)およびアゴニストの持続髄注による
AMPA受容体を構成するサブユニットにはGluR1~GluR4の4種があり,生物種を越えて高い相同性を保っている。各々が異なるチャネル特性のアイソフォームを持つこと,およびheteromericあるいはhomomeric四量体を形成することから,サブユニットの構成によりAMPA受容体の特性は多様であると考えられる。各サブユニットは第2膜領域にRNA編集を受けるQ/R部位を持ち,この部位のアミノ酸残基はGluR2以外のサブユニットではグルタミン(Q)であるのに対し,GluR2ではアルギニン(R)となっている。ゲノムレベルでは,GluR2においてもQがコードされているが,転写後,RNA編集という塩基置換(CAG:Q→CI(G)G:R)を受ける3,4)。RNA編集は胎生期から成熟期に至るまで,正常神経細胞においてはほぼ100%に保たれている5)。Q/R部位はチャネルポアに面しており,Ca2+透過性を決定する因子の一つである。Rを発現したGluR2(R)をサブユニットに持つAMPA受容体はCa2+透過性が低く,未編集のGluR2(Q)をサブユニットに持つ場合はほかのサブユニットと同様,Ca2+透過性が高い(図1)6)。このようなチャネル特性の違いによる細胞内への過剰なCa2+流入が細胞死への引金を引くと考えられる。
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