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特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 5.輸送系
上皮型Naチャネルβサブユニット(SCNN1B)
著者: 浦信行1 島本和明1
所属機関: 1札幌医科大学第二内科
ページ範囲:P.446 - P.447
文献購入ページに移動ENaCの分子構造と作用調節については1990年代半ばより多数の報告がなされ,これらの解明が飛躍的に進んだ。まず,1993年にCanessaら1)によって,ラット大腸の上皮細胞より発現クローニング法を用いてENaCのαサブユニットがクローニングされ,続いて翌年β,γサブユニットもクローニングされた2)。ヒトのENaCについても,1994年に肺よりαサブユニットが3),翌年にはβ,γサブユニットがクローニングされ4),以降ENaCの構造-機能連関の解明が飛躍的に進むこととなった。これら3種のサブユニットは各々約700個のアミノ酸からなり,34-37%の相同性を有し,図1のように,形態上はいずれも細胞内にN末端とC末端を有し,二つの膜貫通領域とループを形成する大きな細胞外領域を有している。これらのサブユニットは多量体を形成していると考えられるが,Kosariら,Firsovらはα:β:γ=2:1:1の四量体,Snyderら,Eskandariらはα:β:γ=3:3:3の九量体で機能すると推測している。
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