文献詳細
特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
5.輸送系
ATP結合カセットトランスポーターサブファミリーAメンバー1(ABCA1)
著者: 玉澤直樹1
所属機関: 1弘前大学医学部内科学第三講座
ページ範囲:P.450 - P.451
文献概要
ABC(ATP binding cassette)輸送体は,ATPをエネルギー源として細胞膜の内側から外側へのさまざまな物質輸送に関与する一種の能動輸送酵素で,ATP結合部分のペプチドドメインに共通配列(Walker A, Walker B)を持つ。ABCファミリーはAからGに分かれ,ABCAのサブファミリーの一つであるABCA1は,6個の膜通過ドメインと2個のヌクレオチド結合ドメインが直列に繰り返した構造を持っており,49のエクソン,2261アミノ酸残基からなる分子量約70kbの蛋白である。細胞膜の内膜に存在する遊離型コレステロールを外膜側に移動する(フリップフロップ)役割を果たしており,細胞内の遊離コレステロール(FC)を細胞外に引き抜く(cholesterol efflux)初期段階に重要な役目を果たす。ABCA1mRNAは肝臓,腎臓,副腎,小腸,中枢神経など広くその発現が認められる。マクロファージでは泡沫化することによってmRNA,タンパク質ともに増加する1)。
参考文献
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