文献詳細
特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
17.免疫系
Interleukin 1 beta protein(IL1B)
著者: 堤明人1
所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学
ページ範囲:P.536 - P.537
文献概要
IL-1はT細胞へのマクロファージによる抗原提示にともない活性化されたマクロファージから産生され,T細胞のIL-2産生やIL-2レセプター発現を促し,T細胞の活性化や増殖に重要な機能を果たすなど免疫反応の過程において重要な役割を果たしているが,最近では代表的な炎症性サイトカインとしての役割が注目されている。IL1はTumor necrosis factor(TNF)αと相乗的に作用し,Phospholipase A2(PLA2),cyclooxygenase 2(COX2),inducible NO synthase(iNOS),各種ケモカインや接着分子など炎症惹起物質を産生させる。これらがさらに炎症惹起物質の産生や好中球の誘導や活性化を引き起こし,炎症や組織破壊の原因となる。このような急性期の病態には特にIL-1β が重要である。また,IL-1はTNF-induced receptor activator NF-κB ligand(RANKL)遺伝子の発現を増強させる1)。従って破骨細胞の分化,骨破壊にも大きく関与していると考えられる。最近,TNFαによるRANKLの産生増強はIL-1を介していることも報告された2)。
参考文献
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