icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻5号

2005年10月発行

文献概要

特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム 17.免疫系

ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12/間質細胞由来因子-1(CXCL12)

著者: 井手茜1 川崎英二2 江口勝美1

所属機関: 1長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科 2長崎大学医学部・歯学部附属病院生活習慣病予防診療部

ページ範囲:P.538 - P.539

文献購入ページに移動
 CXCL12の発見は相互分泌ファミリーに属するⅠ型膜貫通型タンパクで,マウス骨髄由来ストローマ細胞株から同定された新規分泌タンパク質SDF-1(stromal cell-derived factor 1)が端緒となった1)。また,これは前駆B細胞の増殖を促進する因子であるpre-B cell growth stimulatory factor(PBSF)と同一物質であることが証明され,CXCL12,SDF-1,PBSFは同義語として用いられている2)

 相互分泌ファミリーは,構造上二つのシステイン残基を持つCCサブファミリーと,四つのシステイン残基を有しN末端側の二つのシステイン残基がCXCモチーフを示すCXCサブファミリーとの二つのサブファミリーに分類されるが,CXCL12は後者に属する。CXCL12はほかの相互分泌ファミリーと異なり,その遺伝子はヒト染色体10q11.1に存在し,全鎖長は約10kbに及ぶ。5末端はTATAが少なくGCリッチであることから,この遺伝子がユビキタスなものであることを示唆し,事実CXCL12はほぼ全ての臓器に発現している1)。CXCL12はリンパ球の遊走・活性だけでなく,胎児期における骨髄での造血幹細胞,中枢,心臓,消化器などの分化・発達や,そのほか血管形成,癌やウイルス感染においても重要な役割を果たすことが知られている。

参考文献

18:1767-1771, 1988
91:2305-2309, 1994
114:565-574, 2005
279:389-393, 1998
64:973-978, 2003
121:335-348, 2005
25, 2005(Epub)
62:5930-5938, 2002
April 4, 2005(Epub)
4:291-303, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?