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特集 構造生物学の現在と今後の展開
蛋白質複合体結晶構造が明らかにした蛋白質相互作用の多様性,巧妙性―核外輸送複合体の場合
著者: 松浦能行12
所属機関: 1名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻 2科学技術振興機構ERATO
ページ範囲:P.564 - P.570
文献購入ページに移動細胞は蛋白質やRNAなど生体高分子複合体からなる分子装置の集まりである。これら分子装置のほとんどは,結合・解離が巧みに調節された複合体であるところに生理的意義がある。すなわちどのような生命現象であれ,その分子機構をつきつめていくと,問題の核心は分子間相互作用とその制御にあることがはっきりしてくる。相互作用を理解するには,複合体の立体構造を原子レベルで解き,構造情報に基づいて機能発現のメカニズムを推論・検証していくのが正攻法であることは生命科学の歴史が証明しているといってよいであろう。ひとたび重要な複合体の構造が解けると,研究に質的な変革がもたらされるところが構造研究の醍醐味である。換言すれば構造生物学は生物学を質の高いサイエンスに高めるためのひとつの重要な役割を担っている。
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