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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻6号

2005年12月発行

文献概要

特集 構造生物学の現在と今後の展開

蛋白質複合体結晶構造が明らかにした蛋白質相互作用の多様性,巧妙性―核外輸送複合体の場合

著者: 松浦能行12

所属機関: 1名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻 2科学技術振興機構ERATO

ページ範囲:P.564 - P.570

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 分子間相互作用の原子レベルでの構造情報は生命現象の分子論的理解を大きく進展させ,研究の質を格段に高める。本稿では最近筆者が解いた核外輸送複合体の結晶構造を例にとり,複合体の構造解析の意義を考察する。

 細胞は蛋白質やRNAなど生体高分子複合体からなる分子装置の集まりである。これら分子装置のほとんどは,結合・解離が巧みに調節された複合体であるところに生理的意義がある。すなわちどのような生命現象であれ,その分子機構をつきつめていくと,問題の核心は分子間相互作用とその制御にあることがはっきりしてくる。相互作用を理解するには,複合体の立体構造を原子レベルで解き,構造情報に基づいて機能発現のメカニズムを推論・検証していくのが正攻法であることは生命科学の歴史が証明しているといってよいであろう。ひとたび重要な複合体の構造が解けると,研究に質的な変革がもたらされるところが構造研究の醍醐味である。換言すれば構造生物学は生物学を質の高いサイエンスに高めるためのひとつの重要な役割を担っている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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