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文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻6号

2005年12月発行

文献概要

特集 構造生物学の現在と今後の展開

フィラメント構造体の構造をどのように解明するか―アクチンフィラメントの場合

著者: 小田俊郎1

所属機関: 1理化学研究所播磨研究所放射光科学総合研究センター

ページ範囲:P.581 - P.585

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 アクチンは1942年にStraubにより発見されて以来1),いまだに研究対象となっている蛋白質である。これは,アクチンが細胞内で最も豊富な蛋白質の一つであり,細胞内運動,細胞分裂など,多岐にわたる生命現象に関与するためである。

 このアクチンに関する研究を概観するならば,初期の研究は,アクチンが乾燥筋肉から多量に抽出されることもあり,筋蛋白としてのアクチンと性格づけられ,筋収縮を担うアクチンとミオシンとの相互作用の研究が盛んであった。また,当時からG-アクチンは中性塩の添加によりF-アクチンに重合することが知られており,重合性蛋白質としてのアクチンでもあった。1960年代後半になり,非筋細胞からもアクチンが精製されるようになり2),細胞内でのアクチンの様態にも関心がもたれるようになった。光学顕微鏡など細胞生物学の手法の発展により,フィロポディア・ラメラポディアの活発な運動が可視化され,細胞運動の実体(モーター)としてのアクチンが認識された3)。また,G-蛋白質依存的にF-アクチンをキャップするmDiaやフォルミンの発見によって,シグナル伝達の最終ターゲットとしてのアクチンの性格も加わってきた4)。また,最近では,核内にアクチン分子が存在することが共通認識となり,その機能にも関心が集まっている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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