icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学56巻6号

2005年12月発行

文献概要

特集 構造生物学の現在と今後の展開

「蛋白質がわかる」ための理論と計算の役割

著者: 郷信広1 米谷佳晃2

所属機関: 1日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門 2科学技術振興機構CREST

ページ範囲:P.626 - P.631

文献購入ページに移動
1 蛋白質がわかるということ

 蛋白質分子は20種のアミノ酸が特定の配列で一列につなぎ合わされた線状の高分子で,細胞内の特定の環境下で,アミノ酸の配列で定まる特定の立体構造に折りたたまれ,機能を発揮する。特定の立体構造を持つ状態は天然状態と呼ばれる。この状態において,立体構造は詳細に見ると平均構造のまわりに複雑な動きを示しており,その動きや分子間の相互作用を通して分子は機能を発揮する。

 アミノ酸配列は,生物進化の過程で繰り返されてきた突然変異と淘汰によって選び出されてきたものである。突然変異は多くの場合,1アミノ酸置換をもたらす。その置換は,配列によって定まる特定の立体構造とその安定性に影響を及ぼし,さらに平均構造のまわりの運動や分子間相互作用に影響をもたらすことにより機能に影響する。生物個体にとってその構成要素である蛋白質分子の存在理由は,分子が発揮する機能にかかっている。したがって,突然変異によってランダムに引き起こされる個々のアミノ酸置換によって,機能がそれぞれどのように影響を受けるかがわかれば,蛋白質分子が理解できたと考えてよいのではないか。

参考文献

12:183-210, 1983
22:425-439, 2004
60:96-123, 2001
267:249-253, 1991
14:1333-1338, 1993
65:1604-1608, 1996
100:13898-13903, 2003
3:173-181, 1998
38:197-209, 2000
105:2414-2423, 1996
113:6042-6051, 2000
117:5179-5197, 1995
102:3586-3616, 1998
118:11225-11236, 1996
19:535-547, 1998
386:460-467, 2004
307:269-283, 2004
119:5185-5197, 2003
289:547-564, 1999
23:1323-1336, 2002
25:1-15, 2003
23:1516-1531, 2002
121:6998-7008, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?