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文献詳細

雑誌文献

生体の科学57巻2号

2006年04月発行

文献概要

特集 膜リサイクリング

ゴルジ装置-小胞体間膜リサイクリング

著者: 吉村信一郎1

所属機関: 1マックスプランク生化学研究所

ページ範囲:P.77 - P.82

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 小胞体とゴルジ装置の間のタンパク質輸送は順行輸送と逆行輸送によって制御されている。順行輸送は小胞体で新規合成されたタンパク質の輸送に機能する。逆行輸送は小胞体に局在すべきタンパク質の小胞体への保持,あるいは順行輸送に必要な因子の回収に必要とされてきた。今回は逆行輸送に焦点をあてて概説したい。

 分泌タンパク質や膜タンパク質は小胞体上で合成された後,小胞体からゴルジ装置を経由する段階で糖鎖などの修飾を受け,その後細胞外へ分泌されたり,あるいは細胞膜,エンドソームなどのそれぞれの目的地に運ばれたりする。この小胞体からゴルジ装置方向への輸送を順行輸送(anterograde transport)という。また,ゴルジ装置から小胞体方向への逆行輸送(retrograde transport)経路も存在する。順行輸送と逆行輸送のバランスによりタンパク質,脂質などの適切な局在,そして細胞内小器官のアイデンティティーが維持される。さらに逆行輸送においては,近年タンパク質の品質管理において重要な役割を果たす可能性が示唆されている。逆行輸送経路にはCOPⅠ依存的経路とCOPⅠ非依存的経路(図1)が知られているが,本稿ではそれぞれの経路において代表的な因子を紹介し,それらの因子の役割について記述する。またそれぞれの逆行輸送経路の意義についても考察する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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