文献詳細
特集 ミエリン化の機構とその異常
オリゴデンドロサイトおよびシュワン細胞の細胞体に発現するABCA2蛋白
著者: 山田勝也1 稲垣暢也2
所属機関: 1弘前大学医学部生理学第一講座 2京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学
ページ範囲:P.167 - P.171
文献概要
ABCA2が属するAサブクラスの分子群は,ABCA1が血中のhigh-density lipoprotein(HDL)が欠損するタンジール病の原因遺伝子であり,コレステロールやリン脂質輸送に関連することが報告されてから急速に注目されるようになった11,12)。Aサブクラスにはほかにも, 黄斑部変性症(スタッガード病)の原因遺伝子であり視細胞に特異的に発現するABCA4が,レチナール/ホスファチジルエタノールアミン複合体の膜輸送に関与すると考えられている13)。 一方, ABCA3は肺に非常に強く発現し14),特異的抗体を用いてヒト肺組織の免疫染色を行ったところ,肺胞Ⅱ型細胞に発現が認められた。 ABCA3は, 脂質に富んだ界面活性剤であるサーファクタントの分泌顆粒として知られるラメラ体の限界膜に特異的に発現していたことから,肺サーファクタントの膜輸送に関与している可能性が示唆されている15)。
参考文献
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