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文献詳細

雑誌文献

生体の科学57巻3号

2006年06月発行

文献概要

特集 ミエリン化の機構とその異常

Sandhoff病モデルマウスから樹立されたオリゴデンドロサイトおよびシュワン細胞株における蓄積複合糖質の解析

著者: 伊藤孝司1 辻大輔1 桜庭均2

所属機関: 1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部医薬資源科学講座創業生命工学分野 2東京都臨床医学総合研究所

ページ範囲:P.224 - P.228

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 Sandhoff病は,リソソームに存在する糖質加水分解酵素であるβ-ヘキソサミニダーゼ(Hex)のβ-サブユニットをコードするHEXB遺伝子の変異が原因で発症する常染色体劣性遺伝病である1)。Hexは複合糖質糖鎖の非還元末端にβ結合したN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)あるいはN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)残基を認識して分解する。 また, Hexはαおよびβの二つのサブユニットから構成され,HexS(αα),HexA(αβ)およびHexB(ββ)の三つのアイソザイムが存在する(図1)。生体内ではおもにHexAとHexBが発現しており,HexSはその不安定性のため存在量は少ない。αおよびβサブユニットには各々基質選択性の異なる触媒部位が1ヵ所ずつ存在するが,βが中性糖鎖を認識するのに対し,αは硫酸化GlcNAc残基などを含む酸性糖鎖に対する選択性が高い。また,HexAのみが糖脂質であるGM2ガングリオシド(GM2)をそのGM2活性化タンパク質と協同して分解することができる1,2)

 Sandhoff病では,HexAおよびHexBが同時に欠損するため,GM2をはじめとする糖脂質や非還元末端にGlcNAc残基を含有する糖タンパク質糖鎖などの基質がリソソーム内に過剰蓄積する。これらの蓄積は全身で進行性に起こり,精神運動発達遅滞,痙攣や四肢麻痺などの中枢神経症状や,末梢では肝脾腫などの症状が現れる1)。一方,α-サブユニット遺伝子(HEXA)の変異に基きHexAおよびHexSの同時欠損を伴うTay-Sachs病や,GM2活性化タンパク質遺伝子(GM2A)の変異に基くABバリアントでは, GM2の脳内過剰蓄積を伴い,主として中枢神経症状が発症する1,2)。しかしこれらのGM2蓄積症(GM2 gangliosidoses)の発症メカニズムについては依然として不明な部分が多い。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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