文献詳細
特集 脳科学が求める先端技術
ニューロインフォマティクスから見たバーチャルブレイン計画
著者: 臼井支朗1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター神経情報基盤センター/ニューロインフォマティクス技術開発チーム
ページ範囲:P.310 - P.314
文献概要
「ニューロインフォマティクス」は,こうした関連する膨大な研究成果に関して,情報技術を効率的に活用した研究基盤の上で21世紀の脳科学研究を展開する,IT時代の脳・神経科学研究のための学問分野である。経済協力開発機構(OECD)においても,今後の脳研究の進展にニューロインフォマティクスが大きく寄与し,人類の生活・健康水準の向上や経済の発展に重要な役割を担うとして,2005年8月,ニューロインフォマティクス国際協力機構INCF(International Neuroinformatics Coordinating Facility)の設立が承認され,同年11月にスエーデンのカロリンスカ研究所に設置されることが決定された。2006年4月には事務局長としてノルウェイのJan Biaalie氏が就任し,開設の準備が始まった。わが国においても2005年4月,理研BSIに神経情報基盤センター(NIJC:Neuroinformatics Japan Center)の設置が認められ,2006年2月末,日本ノードの運用が開始された2)。今後,国内外の脳研究に関する情報の統合,体系・共有化を進めることにより,21世紀における科学技術の夢の一つとして,世界の研究者が協力し,IT基盤上でバーチャルブレインの実現を目指してニューロインフォマティクスが展開されようとしている。
参考文献
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