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特集 生物進化の分子マップ 11.酵素
真核生物におけるGAPDH遺伝子の複雑な進化
著者: 瀧下清貴1 石田健一郎2 丸山正1
所属機関: 1海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センター 2筑波大学大学院生命環境科学研究科
ページ範囲:P.410 - P.412
文献購入ページに移動本稿で扱うGAPDH遺伝子は大きく二つのグループに分けられる。一つは真核・細胞質型のGapCタイプで,もう一つは真正細菌型のGapA/Bタイプである。一次共生由来の葉緑体を有する緑色植物(緑藻類+高等植物)や紅藻類は両方のGAPDH遺伝子を核にもっており,GapCは細胞質のGAPDHを,GapA/Bは葉緑体内で働くGAPDHをそれぞれコードしている。それらのGapA/Bは,ラン藻類が有するGAPDHの一つと近縁であることから(図1),一次共生による葉緑体の獲得に伴ってラン藻類から宿主核に転移した多くの葉緑体タンパク質遺伝子の一つであることが容易に想像できる。ところが紅藻類を起源とする二次共生由来葉緑体(従属栄養性真核生物が真核藻類細胞を取り込むことで獲得された葉緑体)をもつ真核生物では状況が異なる。
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