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文献詳細

雑誌文献

生体の科学57巻5号

2006年10月発行

文献概要

特集 生物進化の分子マップ 12.ホルモン/生理活性ペプチド

レニン-アンジオテンシン系の進化

著者: 竹井祥郎1 渡辺太朗1

所属機関: 1東京大学海洋研究所生理学分野

ページ範囲:P.430 - P.431

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 レニン-アンジオテンシン系は循環調節や体液調節に重要な酵素・ホルモン系である1)。腎臓から分泌されるレニンは,肝臓で作られる血漿タンパク質であるアンジオテンシノゲン(AGT)に作用して,N末端からアンジオテンシンⅠ(ANGⅠ)を切り取る。ANGⅠは肺循環を通る間にアンジオテンシン変換酵素(ACE)により活性型のANGⅡに変換される。ANGⅡは強力な血管収縮作用,飲水誘起作用,アルドステロン分泌促進作用などを示し,ACE阻害剤やANGⅡ受容体のアンタゴニストは心不全,高血圧,水・電解質代謝異常などの治療において,重要なターゲットとなっている。

 これまでに,AGTを含む血漿とレニンを含む腎抽出物をインキュベートしてANGⅠを産生し,それを精製することにより多くの動物でANGⅠの配列が決定されてきた(図1A)。調べられた動物は,円口類に属するヤツメウナギから哺乳類まで多様である2)。しかし,系統的に原始的な種では血漿AGT濃度やレニン活性が低く,十分な量のANGⅠを生成するためには百ミリリットル単位の血漿と数十グラムの腎臓組織を必要とする。そのため,まれにしか捕獲できない種や腎組織が未発達なメクラウナギなどでは,この方法を用いて配列決定に十分な量のANGⅠを生成することは不可能であった。

参考文献

1)Kobayashi H, Takei Y:The Renin-Angiotensin System, pp 1-224, Springer, 1996
135:286-292, 2004
139:281-285, 1993
79:12-23, 1990
5)南方宏之:生体の科学 57:426-427,2006
6)井上広滋,竹井祥郎:生体の科学 57:420-421,2006
148:181-186, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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