文献詳細
特集 生物進化の分子マップ
13.時計遺伝子
線虫におけるクロック遺伝子ホモログ
著者: 長谷川建治1 三枝徹2
所属機関: 1北里大学大学院医療系研究科脳機能科学 2北海道大学創成科学研究機構流動研究部門未踏系
ページ範囲:P.442 - P.443
文献概要
多くの時計蛋白は,basic-helix-loop-helix(bHLH)とPAS構造をもち,dioxinなどの環境汚染物質に対する毒素代謝に関与するARNTやショウジョウバエ中枢神経発生に関わるSIMなどと共に,環境変化の感知と適応(発生時の細胞を取り巻く環境も含む)に関与するbHLH-PAS蛋白に分類されている9)。PASは,PER-ARNT-SIMに由来する10)。bHLHのbasic領域はDNAへの結合,HLH領域はほかの蛋白とのダイマー形成に機能し,これにPAS領域が結合する。神経や気管支の発生,低酸素反応,および対毒素代謝などでの役割が明確にされ,かつbHLH-PAS蛋白の機能はよく保存されていることが明らかにされている。それに対し,概日時計での役割は見通しがよいとはいい難い11)。
参考文献
掲載誌情報