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特集 生物進化の分子マップ 15.膜関連
カベオリンの分子進化
著者: 向後寛1 藤本豊士1
所属機関: 1藤田保健衛生大学総合医科学研究所 2名古屋大学大学院医学系研究科分子細胞学
ページ範囲:P.450 - P.451
文献購入ページに移動分子系統樹からは,進化の過程でまずcav2が分かれ,その後にcav1とcav3が分かれることがわかる。cav2とcav1,3のエクソン・イントロン構造には違いが見られ,無脊椎動物の一部のcav遺伝子のゲノム構造はcav2に類似する1)。cav2に特異的な最後のエクソンにコードされるアミノ酸配列はcav1,3との相同性が低い(図2)。これらの事実はcav2がcavのプロトタイプであることを示唆する。細胞生物学的な性質を見ても,cav1,3は単独でカベオラを形成し得るが,cav2は脂肪滴やゴルジ装置などの細胞内膜系にとどまるという違いがある2)。無脊椎動物にカベオラがあるかどうかは不明だが,cavの祖先分子は細胞内膜系で機能する分子として存在した可能性がある。cav1,3の共通祖先分子の出現によってカベオラが形成され,より発達した細胞機能を担うようになったのかもしれない。実際cavは,ラフトが関与するシグナル伝達やエンドサイトーシスに高次の制御を及ぼす分子と考えられている3)。
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