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特集 生物進化の分子マップ 16.細胞内輸送
SNAREの分子進化
著者: 大庭良介1 竹安邦夫1
所属機関: 1京都大学大学院生命科学研究科分子情報解析学分野
ページ範囲:P.456 - P.457
文献購入ページに移動SNARE分子は,「特定の輸送小胞がどの細胞内小器官と融合するか」という細胞内の膜流通を管理する重要因子である。小胞側と標的膜にそれぞれに存在するSNARE分子との間の特異的結合により,膜融合の特異性が決定される。
SNARE分子は,C末端の疎水性領域で膜に貫通し,中ほどのSNAREモチーフと呼ばれるコイルドコイル領域で別のSNAREと結合する。SNAREは,会合の中心となるSNAREモチーフのアミノ酸(0レイヤー)がグルタミン(Q)もしくはアルギニン(R)であることから,Q-SNAREとR-SNAREに分類される。さらにQ-SNAREは,そのモチーフの分子系統的特徴からQa-SNARE,Qb-SNARE,Qc-SNAREに分類される。一般に,小胞にはR-SNARE,標的膜・SNAPにはQ-SNARE(標的膜上にはQa,SNAPにはQb,Qc)が存在し,分子の会合の際には,各モチーフが一つずつ使用される1,2)。Qa,Qb,Qc,Rの各SNAREグループ間の進化距離はほどよく離れており,各グループは早い段階で分化し,おのおので多様化してきた。
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