icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学57巻5号

2006年10月発行

文献概要

特集 生物進化の分子マップ 17.受容体

リアノジン受容体の分子進化

著者: 小川靖男1

所属機関: 1順天堂大学薬理学教室

ページ範囲:P.466 - P.468

文献購入ページに移動
 リアノジンRyは南米ベネズエラ,トリニダード島原産のイイギリ科の植物の茎,根から抽出されるリトマス中性のアルカロイドである。殺虫剤として使われ,昆虫では多くの場合麻痺性筋弛緩を起こすのに対し,哺乳類骨格筋に対しては遅効性の不可逆的な強い筋拘縮を起こすことで注目されていた。Ryは開状態のCa2+誘発性Ca2+遊離CICRチャネルに高親和性に結合し,チャネルを開状態に保持することが明らかにされ,Fleischerら1)はウサギ骨格筋筋小胞体からRy結合蛋白を単離した。非常に大きな蛋白であり, CICRチャネル活性を示すことも確かめられた。即ちリアノジン受容体RyRとは(筋)細胞のSR/ER膜に存在するCICRチャネル蛋白である。Takeshimaら2)は初めてRyRの塩基配列を確定した。

 RyはRyRを開口固定するが,その効果は筋の種類により異なる。例えば骨格筋では拘縮を起こすが, 心筋では負の変力作用(収縮力低下)を示す。これは心筋ではNa+/Ca2+交換反応による細胞外へのCa2+汲み出しが強力で,SRのCa2+が枯渇するためである。このほかにCa2+ activated Cl- channel,K+ channelなどの活性変化を介した膜電位変化も考慮しなければならない。

参考文献

262:1740-1747, 1987
339:439-445, 1989
36:27-64, 1999
265:14187-14194, 1990
269:17206-17214, 1994
65:2418-2427, 1993
275:C401-C415, 1998
7:D176-D182, 2003
38:557-567, 2005
282:R727-R739, 2002
267:849-864, 1997
337:81-84, 1994
99:1695-1700, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?