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特集 生物進化の分子マップ 20.収縮タンパク
トロポニンの比較生物学
著者: 大槻磐男1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学生理学第二講座
ページ範囲:P.488 - P.489
文献購入ページに移動 生理的な横紋筋の収縮弛緩の過程は微量のカルシウムイオンによって制御されているが,トロポニンはこのカルシウム制御に関わる調節タンパク質であり,三つの相異なる成分(トロポニンC,IおよびT)によって構成されている。トロポニンC(TnC)はCa2+受容成分である。またトロポニンI(TnI)は収縮抑制成分として働き,トロポニンT(TnT)はもうひとつのカルシウム調節タンパク質であるトロポミオシンに結合するなど,それぞれがトロポニンの特徴的な性質を分担している。
脊椎動物の横紋筋を構成する骨格筋速筋,骨格筋遅筋および心筋には,それぞれの筋肉に固有のトロポニンアイソフォームが存在する。詳しく見ると,TnIとTnTでは遺伝子の異なる3種類のアイソフォームが存在し,TnCでは骨格筋遅筋と心筋が同一遺伝子によるため2種類となる。また,TnTではスプライシング機構によって複数のアイソフォームが産生され,その数は動物と筋肉の種類によって異なり,また筋肉の発達の時期によっても変動する1-3)。それぞれの筋肉のアイソフォームの発現とその機能についての知見を紹介する。
脊椎動物の横紋筋を構成する骨格筋速筋,骨格筋遅筋および心筋には,それぞれの筋肉に固有のトロポニンアイソフォームが存在する。詳しく見ると,TnIとTnTでは遺伝子の異なる3種類のアイソフォームが存在し,TnCでは骨格筋遅筋と心筋が同一遺伝子によるため2種類となる。また,TnTではスプライシング機構によって複数のアイソフォームが産生され,その数は動物と筋肉の種類によって異なり,また筋肉の発達の時期によっても変動する1-3)。それぞれの筋肉のアイソフォームの発現とその機能についての知見を紹介する。
参考文献
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